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診療科・部門紹介
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胃外科

胃外科

最終更新日 : 2021年4月21日

バックナンバー

※ こちらのページは医療機関向けとなりますが、一般の方もご覧いただけます。 


がん研有明病院・胃がんグループは、チーム力を結集して
患者さんをお迎えいたします。

各部長よりごあいさつ

  • 布部 創也
    胃外科部長
    布部 創也
    新しい時代の幕開け
    いつも患者さんをご紹介いただき誠にありがとうございます。
    胃外科部長の布部創也です。当院胃外科では昨年よりロボット支援下手術を導入し、順調に症例を重ねております。いままでの鏡視下手術の経験を活かし機能温存手術から進行がんにまで適応しております。ロボット手術は今後AIを含めた新たなテクノロジーが搭載され期待の 高まる手術デバイスです。我々も次世代の外科治療に向けてしっかりと準備をしていきたいと思います。
  • 藤崎 順子
    消化器内科
    部長
    藤崎 順子
    内視鏡はお任せください!
    いつもたくさんのご紹介ありがとうございます。おかげ様で2019年の胃癌の内視鏡治療件数は過去最高の524件となりました。これも先生方のご紹介の賜物です。内視鏡治療前の医局カンファレンスでは、大変発見が難しい症例を先生方からご紹介頂いていることに、医局員が感嘆するような場面も多くあります。ご紹介してくださる先生方の内視鏡技術や観察眼の高さにいつも感服いたしています。内視鏡検診が始まり各地域でお忙しい毎日と存じます。今後ともよろしくお願いいたします。
  • 山口 研成
    消化器化学療法科
    部長
    山口 研成
    患者さんとともに歩む抗がん剤治療
    いつもご紹介いただき、誠にありがとうございます。
    抗癌剤はきついとか効かないと言われています。しかし正しい知識の下でしっかり治療すれば効果を実感できますし、副作用も抑え込めます。専門にやっているからこその工夫がありますし、先を見すえた対策も打てると考えます。
    また、多くの治験や遺伝子パネルを利用した治療も視野に入れて可能性を求めた治療を行っています。胃がんの抗癌剤が必要と判断されましたら、
    ぜひ“がん研”を思い出して頂ければ幸いです。

連載:PERICANの取り組み: 栄養管理部のご紹介

PERICAN当院では、多職種による周術期管理チームをPERICAN (Perioperative team at Cancer Institute Hospital:ペリカン)と名付け活動しています。その中で、今回は栄養管理部の取り組みをご紹介します。

胃切除後は、1年間で体重が約10-20%減ると言われています。なかでも胃全摘後は顕著です。胃切除後の体重や筋肉量の減少は、生活の質を低下させるだけでなく、術後に抗がん剤が続けられなくなり、生存に影響するとも報告されています。そこで、われわれは術後早期から体重や筋肉量を落とさない対策を進めてきました。

図1. 病棟での栄養相談

まず、管理栄養士を病棟に常駐させ、日々栄養相談に乗り、病態に応じたきめ細かい栄養管理を行っています(図1)。

また、栄養指導を強化しました。従来は術後7日目のみに行っていた栄養指導を、1ヶ月、3ヶ月目にも外来で追加しました。その結果、これまで術後3ヶ月間持続していた胃全摘後の筋肉量の減少を食い止めることができました(図2)。このようにやむを得ず胃全摘が必要な病状であっても、栄養指導などの介入を行うことで筋肉量が維持され生活の質が保たれる可能性があります。今後はさらに手術前にも、外来にて栄養指導を行う予定です。

(胃外科医長 井田 智)

図2. 胃全摘後の筋肉量の変化

消化器化学療法科のとりくみ

免疫治療関連有害事象(irAE)に対するチーム医療

免疫チェックポイント阻害剤を用いた免疫療法は、今やがん治療の第4の柱となっております。切除不能な進行胃がんにおいては、3次治療以降でニボルマブ、MSI-highでは2次治療からでもペンブロリズマブが適応となっております。今後、免疫療法の適応はさらに拡大されていくことが期待されています。

一方、免疫療法を施行された患者さんでは、PD-1抗体薬によって活性化されたT細胞による多様な細胞障害、免疫治療関連有害事象(irAE)も報告されております。irAEは、肺炎や腸炎をはじめ、高血糖、甲状腺機能異常などの内分泌異常や、脳を含む神経障害、非常に稀ながら致死率の高い心筋障害など、これまでの化学療法の副作用より広範な臓器に及び多彩な症状を呈します。irAEは、がん免疫療法のマネジメントを行う上では必須の知識で、これまでのがん診療の枠組みを越えた幅広い連携が不可欠です。

消化器化学療法科は、がん免疫療法に関わる全診療科で組織するチームIT(immune therapy)の一員として、月1回の定例ミーティングの開催や、irAEのマネジメントをまとめたマニュアルも整備してきました。今後も患者さんにとって安心・安全な治療の提供を目指してチーム医療を進めて参ります。  

(消化器化学療法科 副医長 中山 厳馬)

Dr.平澤の内視鏡クイズ

Q: 次の内視鏡画像を診断してください
A: スキルス胃癌(体中下部後壁大彎、Type 4、92mm、sig,por、pT3(SS))

【解説】

体中下部後壁大彎に壁肥厚・硬化像およびヒダの腫大を認める。スキルス胃癌を疑う所見である。局所だけをみていると気がつきにくいが、対側(前壁側)と比較するとわかりやすい。

スキルス胃癌を疑う場合は小陥凹を探して生検する
→ 生検で癌が検出されなくても、至急再検査または専門病院へ紹介する

詳細な範囲診断は難しいが、対側と比較して壁肥厚している部位は癌が浸潤していると考える(白点線)。術後病理では9cmを超える漿膜下層まで浸潤している病変であった。

お知らせ:ロボット3台目導入しました

当院胃外科では2019年1月から手術支援ロボット「ダビンチ(da Vinci)Xi」を導入し、「ロボット支援下胃切除術」を開始いたしました。

ロボット手術はペーシェントカートを術者がコンソールから操作して行います(右図)。ロボット手術の何よりの利点として、鉗子の関節がヒトの手のように自由に動き、従来の腹腔鏡下手術のような動作制限がない点が挙げられます(下図)。その他にも手ブレ防止機能や高精細3D画像により、腹腔鏡手術よりも繊細な動作ができることで、合併症を減らすことが期待されています。

ペーシェントカート
ペーシェントカート
コンソール
コンソール
ロボット手術の鉗子
ロボット手術の鉗子
腹腔鏡手術の鉗子
腹腔鏡手術の鉗子
実際の手術風景
実際の手術風景

当院には日本内視鏡外科学会の認定する「ロボット支援手術認定プロクター(胃)」が在籍し、2019年1月から2020年1月までに60例以上のロボット支援下胃切除術を行いました。導入初年にもかかわらず、国内屈指の症例数です。合併症発生割合は約1.5%と、臨床試験(2.4%)よりも低く、安全に 導入できております。

さらに2020年1月からダビンチXi3台目を導入し、より手術件数を増やすことができる体制となっております。

(胃外科副医長:幕内 梨恵)

手術件数の推移
手術件数の推移

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